まるでケーキのような、くちどけ「チョコパイ」が
“愛されてNO.1※”の理由とは?アナウンサー 渡辺真理さん×チョコパイブランド課 本原正明、中央研究所 松平彩花
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※インテージSRI ビスケット・クラッカー市場 2018年8月~2019年7月累計 ブランド別販売金額
お菓子をこよなく愛するアナウンサーの渡辺真理さんが、商品開発担当者から、ブランドストーリーを聞き出し、商品の魅力を余すことなく伝えるこの対談。第7回は、半生ケーキの代表格「チョコパイ」を取り上げます。ロッテが確立した新技術を強みに、今なおビスケット市場のトップを走り続けているチョコパイのブランド戦略に迫りました。
チョコパイはなぜパイなのか?
渡辺
「チョコパイ」は、テレビ局やラジオ局の控室にもよく置いてあるお菓子。見つけると「やった、チョコパイがある!」と、スタッフとよく盛り上がります(笑)。
本原
ありがたいことに、「楽屋にあると一番うれしいお菓子」と言ってくださる方は多いですね。
やっぱり!ちょっと特別な感じがあります。
僕が子どもの頃、チョコパイに抱いていたイメージは、おばあちゃんちの菓子棚に置いてある「ちょっと高級なお菓子」なんです。
確かに、そういうイメージですよね。そんな本原さんがチョコパイのご担当になったときは、どんなお気持ちでしたか?
マーケティング部に配属されて6年目の2016年にチョコパイ担当になったのですが、ロッテで3番目に売り上げがあるブランドということでとてもやりがいを感じました。
松平さんは、いかがですか?
松平
私は2017年にチョコパイ担当になりました。それまで新製品を担当していたので、長く親しまれているブランドをどう成長させるのかといった、今までにない課題の新鮮さ、面白さを感じました。
チョコパイの箱には「愛されてNO.1※」とあります。認知度の高いお菓子であることはもちろん、売り上げも順調ですよね?
おかげさまでビスケット市場ではナンバーワンを維持しています。
チョコパイはビスケット市場に分類されるのですか?
はい。ただ、商品名がチョコパイなので、「パイの実」などと同じくチョコレート菓子だと思っている方が多いですね。
ビスケットやチョコレートといった分類は、何が決め手になるのでしょうか?
チョコレートの比率や商品特性です。チョコパイはチョコレート菓子に比べてチョコの比率は低く洋菓子に近いので、ビスケット市場に分類されます。
さらに言うと、ビスケット市場には“半生”カテゴリーが2割ほどあり、ロッテのチョコパイとカスタードケーキはそこに属します。現在、半生市場の5~6割をこの2商品が占めています。
なるほど。ビスケットは硬いというイメージですけれど、チョコパイは“半生”のカテゴリーになるのですね。商品名がチョコ“パイ”なのも不思議です。なぜ“パイ”なのですか?
パイと聞くと、「パイの実」のように、層状になったサクサクした生地をイメージすると思うのですが、アメリカにはソフトケーキややわらかいクッキー生地にクリームやマシュマロを挟んだ「ウーピーパイ」「ムーンパイ」と呼ばれる伝統的な焼き菓子があります。その形状に似ているので、チョコパイになったといわれています。
そういったルーツなのですね。チョコパイが発売された1983年当時、ケーキのように柔らかく、しっとりしていて、しかも日持ちする洋菓子に仕上げるには、大変な技術革新があったのだろうと想像します。商品開発を始められたきっかけを伺えますか?
チョコパイの開発に着手したのは、1970年代後半です。当時、日本ではヨーロッパの食文化の一般化が進み始めた頃で、ケーキという高級生菓子は、今のように気軽に食べられるものではありませんでした。そのおいしさを多くの方に提供したいというのが出発点です。お手頃感があり、いつでもどこでも食べられるような日持ちする“半生ケーキ”としてチョコパイが誕生しました。ケーキとの一番の違いは、日持ちするところです。
開発から完成に至るまで、高いハードルだったのでしょうね。
そもそも「しっとり」と「日持ち」という2つの条件を両立させることは可能なのか?というところからスタートしたので、ほかの商品を開発するよりも完成までに時間がかかりました。
不可能を可能にしたその製法について、もう少し教えていただくことはできますか?企業秘密でもあると思いますので、差し支えない程度でお願いできれば。
しっとりさせるには、水分が必要になるのでかびが発生しやすくなります。なので生地の水分を菌の育成に使われないような工夫をしています。ジャムや漬物は砂糖や塩分で日持ちさせますが、そういった原理を利用して水分を保持しているイメージですね。
そうした技術を高度経済成長期の70年代から研究開発されていたわけですね。
はい。しかもその技術によって今なおチョコパイは売上1位を維持している。これは本当にすごいことだと思います。だからこそ、唯一無二といわれるブランドなのだと。他社がまねできないこのおいしさは、オンリーワンならではの価値だと自負しています。
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