あらためて知りたい!「カリン」ってどんな果実?
だ円形でなめらかな表面を持ち、熟すと黄色くなる果実、カリン。香りがよいので、庭木や盆栽でも人気を誇ります。また、寒い冬、カリンシロップ入りの飲み物や、カリン酒を楽しんだという人も多いのではないでしょうか? 「探検 お菓子の原材料」では今回、カリンについて調べてみました。
秋が深まるにつれて、カリンの香りは強くなる
カリンは、バラ科カリン属。落葉樹です。ピンク色の花が開花するのは4月中旬~5月上旬ごろ。その後、夏から秋にかけて、徐々に実がふくらんで熟していきます。香りも強くなり、10月下旬~11月下旬が収穫期となります。
自宅の庭木として楽しむ人も多く、実のなる盆栽としても人気があります。国内の産地としては、山梨県、山形県、愛媛県、香川県、長野県、奈良県など。ちなみに、原産国は中国といわれています。一説には、カリンの名が「金を借りん」に通じることから、昔から商人にとっては縁起のよい木なのだとか。
熟したカリンは、濃厚な甘酸っぱい独特の香りがします。香りのよいカリンですが、生のまま食べようとしても硬くて、味も渋すぎるため食用には向きません。そこで、よく自宅の玄関などにおいて、香りを楽しむために使われています。また、昔から親しまれているのがカリンシロップ、カリン酒です。
スライスしたカリンを砂糖、または、はちみつと一緒に瓶に入れて、数カ月漬け込んで完成するのが、カリンシロップ。カリンシロップをお湯で割れば、寒い時期にはピッタリな飲み物の完成です。
カリン酒の作り方も簡単。スライスしたカリンをホワイトリカー(果実酒づくりでよく用いられる、焼酎の一種)に数カ月ほど漬け込んで、出来上がり! カリンの風味がよくしみ込んでいて、ほどよい渋みと酸味を味わえるのが魅力です。
香りのよいカリンは、飲料や菓子などの食品にも利用されています。カリンの良い部分を濃縮するため、乾燥したカリンを粉砕後、アルコールを用いて抽出してできるのがカリンエキス。このカリンエキスが、のど飴などにも利用されています。
● 書籍「カリンのチカラ」NHK出版 編
2021-09-21
の こだわり
カリンやハーブに徹底的にこだわったロッテオリジナル「のど飴」
カリンの味わいが楽しめるロッテ「のど飴」を発売したのは1985年。いまでこそ大きく成長したのど飴市場ですが、当時はまだ飴売場でのど飴は売られていませんでした。その頃は、医薬部外品として高価なハーブキャンディがメジャーで、ロッテではより手軽に購入できるキャンディの開発に着手しました。
「のどスッキリのキャンディ(飴)の開発をめざして、素材としてさまざまな植物を集めて成分なども徹底して調べました。そして、商品イメージや味わいなども踏まえると、カリンが最も良さそうだ、という結論に。そこでロッテでは、カリンから有効成分だけを抽出した特別なカリンエキスとともに、さまざまなハーブの中から厳選した13種類のハーブエキスを組み合わせた飴を開発。こうして生まれたのが、スティックタイプの『のど飴』です。私たち研究員は『オリジナル』と呼んでいます」(ロッテ中央研究所・キャンディ研究課 稲葉琴)