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さわやかな香り、味わいが楽しめるミント。フレッシュなまま香りを楽しんだり食したりするほか、ミントから抽出するオイルなどは食品や歯磨き粉、化粧品などの香料としても重宝されています。「探検 お菓子の原材料」では今回、ミントのさまざまな利用の仕方に注目しました。

モロッコ流あま~いミントティー

家庭でも手軽に栽培できるのがミントの魅力です。一般的に、植え付けは春先(秋口も可能)で、花が咲くのは7~8月。その前後にあたる5~6月、9~11月が収穫期となります。高温多湿な環境を嫌うミントは、日当たりがよく、風通しのよい場所で育てるのがベストです。

家庭で収穫したミントの楽しみ方として、ポピュラーなのが、葉を料理やサラダ、デザートに添えること。欧米ではスペアミントを使うことが主流です。イギリスではラム肉に添えるミントソースが定番で、市販されているものもあるとか。

また、ミントは飲み物との相性も抜群。たとえば、キューバ発祥のラムベースのカクテル「モヒート」は、ミントのさわやかさを感じられる一杯です。アメリカの作家、アーネスト・ヘミングウェイが愛したカクテルとしても知られています。

リフレッシュしたい時には、ミントティーも定番でしょう。生葉(フレッシュミント)を使ったミントティーのほうが、乾燥葉(ドライミント)を使うよりも、ミントのさわやかさをより味わえます。

ちなみに、モロッコで親しまれているのが、中国緑茶(ガンパウダー)にフレッシュなミントやハーブ類、砂糖などを加えた、あま~いミントティー。モロッコの国民的飲み物となっています。

和種ハッカに多く含まれるメントール成分

心身のリラックスをもたらすアロマセラピーでおなじみの精油(エッセンシャルオイル)、あるいは、食品などの香料として利用する場合は、どのように流通しているのでしょうか。

アメリカの広大な土地で栽培されるペパーミント、スペアミント。生産地では、ミントを収穫したのち乾燥させてから、蒸留(水蒸気蒸留)をおこないます。蒸留とは、液体を熱して蒸気に変え、その蒸気を冷やして再び液体に戻すこと。蒸留の過程で、水分と油分が分離します。この油分が、精油(エッセンシャルオイル)です。

その後、日本へもオイルの状態で輸入されてきます。また、専門の原料会社によっては、精油を再度蒸留させて、純度――つまり品質を高めたものへと加工して取り扱うこともあるようです。

一方、かつては主に日本で、現在はインドなどで栽培されている和種ハッカは、メントール成分が多く含まれていることが特長です。利用の仕方としては、ペパーミント、スペアミントと同じように、収穫、乾燥を経て蒸留し、「ハッカ原油(取卸油=とりおろしゆ)」を抽出します。

さらに、ハッカ原油を冷却、遠心分離などすることで、無色針状の結晶である「薄荷脳」と、「薄荷油(薄荷白油)」を取り出します。このうち薄荷脳は、メントール成分がほぼ100%の塊です(ちなみに、メントールの和名が「薄荷脳」)。そして、スーッとした清涼感のあるメントールの香りは、食品や日用品の香料として利用され、私たちの気分をさわやかにしてくれるのです。

参考記事:数ミリでめっちゃスースー! ミントの結晶ってどんな味?

無色針状の結晶である「薄荷脳」。メントール成分がほぼ100%

の こだわり

南極で56年間眠っていた「クールミントガム」が帰還!!

ロッテの代表的なミントガムといえば、「グリーンガム」と「クールミントガム」です。どちらも50年以上にわたるロングセラーとして親しまれています。

当時の「グリーンガム」

1957年に発売したのが「グリーンガム」。この当時はまだ、ガムといえば、子ども向けというイメージが強いお菓子でした。そこで「グリーンガム」は、大人向けの嗜好品(しこうひん)として発展させたい、というねらいから開発されました。以後、ガムを用いたお口のエチケットは、若者や大人の間で広く浸透し、ガムが噛まれるきっかけになりました。現在では手軽にミント香を感じられ、リフレッシュできるアイテムとして広く親しまれています。

当時の「クールミントガム」

「クールミントガム」は1960年発売です。当時の消費者調査でわかった「ロッテのガムは甘すぎる」という声を受けて、辛口の味わい目指して開発したのがこのガム。いまも受け継がれるペンギンと月をモチーフにしたパッケージデザインでも注目を集めました。このデザインは、1956年にロッテが南極観測隊用にチューインガムを提供したことから着想を得たものでした(南極観測隊用のガムは、栄養素<ビタミンやミネラルなど>を配合した特別製)。

当時の宣伝カー

そんな「クールミントガム」ですが、南極で56年間眠っていた当時のガムが日本に戻ってきた――。こんなロマンあふれるニュースが、この春話題を集めました。

南極で見つかった初代パッケージの「クールミントガム」(左)、現在の「クールミントガム」

これは、第61次南極地域観測隊の越冬隊が2020年9月、「コカ・コーラ」とともに、昭和基地付近の南極大陸沿岸で発見したもの。「クールミントガム」は、南極のペンギンがデザインされた初代パッケージでした。調べてみると、1965年に第7次南極地域観測隊が現地に持参した食料の一部のようだ、とわかりました。ロッテ中央研究所ではこのガムを受け取り、現在、成分分析などを進めています。

(参考文献)
● 書籍「ミントのチカラ」NHK出版 編
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