カラダの不思議 ミントを食べるとスースーするワケ
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体温は下がらない
ミントフレーバーのガムやキャンディを口に入れたときのスースー感。お菓子自体は冷たくないのに、口の中がひんやりと感じられるのは、なぜでしょうか。食べ物だけでなく、ミントの入浴剤やアロマオイルを入れたお風呂から上がると、全身の体感温度がスーッと下がります。しかし実際には、体温が下がっているわけではありません。ミントでひんやりと感じる理由には、人間の体に備わっている、ある機能が関係しています。
皮膚や目、口の中には、「感覚神経」と呼ばれる温度を感知するセンサーのようなものがあります。お湯や氷に触れると「熱い」「冷たい」と感じるのは、このセンサーが温度を感知し、脳に信号を送るためです。
熱湯を「アチッ!」と感じるセンサーと、氷を「ヒヤッ!」と感じるセンサーは、それぞれ別もの。温度によって異なるセンサーが反応すると考えられています。
ミントのマジック
面白いことに、この「温感センサー」は、温度だけでなく、植物の成分にも反応することがわかっています。たとえば、トウガラシを食べると口の中がヒリヒリと熱くなるのは、「カプサイシン」という成分が熱さに反応するセンサーを刺激するためです。
一方、ミントには、冷たいものに反応するセンサーを刺激する成分が含まれています。和種のミント(ハッカ)やペパーミントなどに多く含まれる「メントール」です。センサーがメントールを感知すると、カプサイシンとは逆に、「冷たい」という感覚を生じます。ミントの「スースー感」はこのためで、ミントが入ったガムやキャンディなど、本来は冷たくないものでも、冷たいと錯覚してしまうのです。
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ミントの入浴剤も、ひんやりと感じさせるだけで、体を冷やすわけではありません。あのスースー感は、私たちの感覚を利用した、ミントのマジックだったのですね。
「ミントの世界」より転載
2020-09-08
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