ミント図鑑

ペパーミント

ヨーロッパ原産で、スペアミントより強い香りがします。和名はセイヨウハッカ。葉の表面は滑らかで、縁にはノコギリ型のギザギザ(鋸歯・きょし)があり、7~9月に淡紫色の花が咲きます。スペアミント同様にミントの代表格で、古来よりティー、料理、芳香剤など生活の一部として幅広く用いられてきました。ペパーミントから採った精油は、香料として使用されています。その清涼感から、気分のリフレッシュができます。

ブラックペパーミント

ペパーミントの一品種で茎葉が紫緑色をして黒っぽく見えることから、この名で呼ばれています。精油を採るのに用いられ、丈夫で幅広く利用できるミントです。特にイギリスのミッチャム地方で栽培されるミッチャム種は、ミッチャムミントと呼ばれ、現在主流となっているようです。

オーデコロンミント

ペパーミントの一品種で、ベルガモットミント、レモンミントとも呼ばれます。柑橘系のコロンのような甘くて強い香りがあり、花はウォーターミントに似ています。やや赤みがかって光沢のある葉は、ペパーミントより小ぶりで丸みを帯びています。ペパーミントと同様、菓子やリキュールの香りづけなどに使われます。ドライにしても香りが強いので、飲用より香料としての使用や、ポプリや入浴剤にも向いています。

キャンディーミント

ペパーミントの一品種で、主にハーブキャンディを作る際の香料を採るのを目的に作られたミントです。ペパーミントに似た清涼感とやや甘い香りがします。

ウォーターミント

ヨーロッパ、アジアに分布するミントで、その名の通り湿地を好む性質です。ペパーミントは、このウォーターミントとスペアミントの自然交配でできたと考えられています。淡い紫色の花を咲かせ、特徴である強い香りを活かし料理のトッピングやティー、ポプリや入浴剤などに利用できます。

スペアミント

ヨーロッパに広く分布する、ペパーミントよりやや甘い香りのミントです。古来より薬草としてよく用いられミドリハッカ、オランダハッカとも言われています。草丈は50~60センチ以上になることもあり、学名のspicata(スピカタ)が表すように穂状花序を出して淡紫色の花を咲かせます。中世ヨーロッパには、歯磨きに使用するようになりました。入浴剤として使用すると、夏はひんやりとした清涼感が楽しめます。このほか肉料理に添えるミントソースやゼリー、ティーといった活用法もあります。

カーリーミント

スペアミントの一品種で、鋸歯のある葉は細かく波打ち皺があるので、チリメンハッカという和名で呼ばれています。香りはスペアミントに似ていて、ティーやお料理に使います。

アップルミント

原産地は地中海沿岸からヨーロッパで、葉からリンゴに似た香りがすることから、この名がつきました。和名はマルバハッカ。葉には全体に柔らかい毛が生えているため、「ウーリーミント」という別名もあります。葉色は明るい緑で、鋸歯があります。育てやすい品種で、清涼感とリンゴの香りを合わせ持つことから人気のあるミントです。フルーツサラダなどの料理やティー、ポプリなどにも利用されます。

パイナップルミント

アップルミントの変種で、卵型の葉の縁に「斑(ふ)」と呼ばれる不規則なクリーム色の模様が入っているのが特徴。観賞用としてもとても美しく、葉からはパイナップルとリンゴのような香りがします。アップルミント同様に、葉は柔らかい毛で覆われています。他のミントと比べると繁殖力が若干弱いです。ティーやビネガー、魚料理などに利用できます。7月~9月頃、茎の先端に穂状花序をだし、小さな白い花を咲かせます。

コルシカミント

地中海西部コルシカなどに生育するミントで、香りはペパーミントに似ています。草丈は2~3cmほどで小さな明緑色の葉が地を這うように広がって(匍匐・ほふく)繁殖するので、ミニグランドカバーにしたり吊り鉢から垂れさせる使い方もできます。夏に薄紫の小さな花を咲かせますが、蒸れに注意が必要です。

ホースミント

ユーラシア大陸原産、スペアミントの原種と言われています。草丈は40~100センチを超える大きさになり、茎や長楕円形の鋸歯葉にはびっしり毛が生えているため、見た目は白っぽく映ります。香りはペパーミントに似て、穂状の薄紫花が咲きます。他のミントに比べ乾燥に強く栽培も容易で、古く栽培され薬用にされていました。香料やエスニック料理などに利用されるほか、花はアレンジメントなどにも使われます。 また、旧約聖書に登場するのは、このミントではないかとも言われています。

ペニーロイヤルミント

ヨーロッパ、西アジアに分布するミントで、和名はメグサ(目草)ハッカ。草丈は10~40センチほどで強い香りがあります。虫がそのにおいを嫌い、古くから使われていました。

カニングハムミント

クリーピングペニーロイヤルとも呼ばれ、ペニーロイヤルミントより草丈が低く葉も小さめ、匍匐性があります。その性質を活かして、日陰のグランドカバーに使うことができます。

ハッカ

ヨーロッパ、アジアに分布し、日本でも古くから利用されてきたミントで、コーンミントとも呼ばれます。ミントの主成分である「メントール」の含有率が多く、その結晶である「薄荷脳」を採るのに用いられます。昔から飴などの菓子やタバコの香料に使われるほか、薬用としても用いられてきました。やや湿り気のあるところに生え、草丈は20~60センチほどになります。鋸歯のある長細い葉は毛で覆われ、夏から初秋にかけて淡紫色の花を咲かせます。

ボールズミント

スペアミントとアップルミントの交雑種で、ケンタッキーカーネルミントとも呼ばれています。草丈は60~100センチほどにもなる大型のミントで、鋸歯のある楕円形の葉は毛で覆われています。丈夫で育てやすく、夏には桃色の花を咲かせます。香りはアップルミントに似ていて、ティーや料理の香りづけに使われます。

レッドラリピラミント

ウォーターミント、コーンミント、スペアミントの交雑種とされ、葉は赤みがかっていてスペアミントに似た香りがします。主にサラダやデザート、ティーなどに利用されます。

グレープフルーツミント

ペパーミントとアップルミントの交雑種。草丈が60センチ以上になる大型のミントで、生育旺盛で丈夫です。丸みを帯びた楕円形の葉も他のミントに比べて大きく、グレープフルーツに似た香りがします。ティーやサラダなどに利用するほか、ポプリなどにも向いています。