ここは、奈良県五條市西吉野町にある
1903 (明治36)年に開墾した果実園。
以来、120年の伝統を生かしながら、
おいしく安心な果物をつくるために、
今日も進化を続けている。
「カリンの栽培には
うってつけの環境です」
そう話すのは、明治から続く果実園の5代目堀内俊秀さん。
なだらかな傾斜のこちらのカリン畑は、
日当たりも風通しも良いという。
もともと柿を栽培していたこの場所は、寒暖差も適度にあり、カリンもおいしく育つのだそう。
「育てるのが難しいから、
やり甲斐があるんです(笑)」
堀内果実園に植えられているカリンの木は、およそ100本。
そのほとんどが樹齢40〜50年という。
カリンには裏年と表年があり、よく実が成った木には翌年、
実がつきにくい。
毎年、まんべんなくカリンを収穫できるように、5種類のカリンの木をバランスよく植え、質の良いカリンが取れる工夫がされていた。
「健康な果実は、
健康な大地から」
その信念のもと、カリンを大切に育てている堀内果実園。
できる限り環境にやさしくすることを心がけ、
SDGsにも積極的に取り組んでいるのだそう。
土づくりには、地元で生産された米のもみ殻を使用。
広葉樹の木材チップを取り入れ、酵素の力で発酵させるなど、
土壌を元気な状態に保っている。
「おいしさの秘密?
ふかふかの土壌かな」
カリン畑を歩くと、なるほど、土壌がふかふかしている。
杉や檜など、木材でも有名な吉野ならではの資材を用いてつくられている。
作物は、土台が重要。この大地からすくすくと育ち、
おいしい果実が生まれるのだそう。
「ミツバチも
大切な従業員なんです」
カリンの花は4月に咲く。10日間ほどの短い開花の間に、膨大な花の量の受粉を終わらせるのには限界がある。
その助っ人として、登場するのがミツバチ応援隊。
効率よく飛び回る、働き者のミツバチたちのおかげで、
円滑に受粉が行われ立派な実が育つのだ。
「ひとつひとつ手摘みで、
収穫しています」
カリンは10月が収穫の時期。ひとつひとつの実をしっかり見極めながら収穫していきます。
熟す前に収穫、風通しの良い場所で保管。
バナナやキウイのように追熟をさせて、
黄色く熟し、オイルが出てくるのを待つのです。