チョコレートにはどんな種類がある?原料・形状別の違いや特徴を解説
チョコレートは私たちにとって最も身近なお菓子の一つでしょう。
コンビニやスーパー、あるいはデパートの食品売り場といったさまざまな場所で見かけますよね。
一口に「チョコレート」といっても、さまざまな材料を組み合わせることで形も味もバリエーション豊かな商品が作られています。
それぞれどのような特徴があるのか、何が違うのかといったことが気になりますよね。
この記事ではチョコレートの種類や、よく見聞きするチョコレートの特徴などについて詳しく解説します。
自分へのちょっとしたご褒美やギフトなどでチョコレートを選ぶ際の参考にしてくださいね。
1.カカオ豆由来の成分の量による分類
チョコレートの種類といえばミルクチョコレートやダークチョコレート、ホワイトチョコレートを思い浮かべる方は多いでしょう。
一般的に、これらのチョコレートは原料にカカオ豆由来の成分(カカオ分)がどれだけ含まれているかによって分類されています。
チョコレートがカカオ豆というものから作られていることは皆さんご存じですよね。
カカオというとラグビーボール型の実が思い浮かぶ方もいらっしゃるかもしれませんが、カカオ豆はカカオの木の実の中にある種子のことです。
「カカオマス」や「ココアバター」は、チョコレートのパッケージに原材料として書かれているのを見たことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
カカオマスとはカカオ豆から外皮を取り除き、細かく砕いてすり潰してつくられるペースト状のもののことです。
またココアバターとは、カカオ豆を搾って得られる植物性油脂のことを指します。
どのチョコレートにどれくらいカカオ分が含まれていて、それぞれにどのような特徴があるのか、詳しくはこれからご説明していきましょう。
1-1.ダークチョコレート
「ダークチョコレート」は、「ビターチョコレート」とも呼ばれるカカオ分の高いチョコレートです。
コンビニなどで「カカオ分○%」といった表示のあるチョコレートを手に取ったことがある方もいらっしゃるでしょう。
実は「カカオ分○%以上のチョコレートをダークチョコレートと呼ぶ」といった明確な基準はありません。
一般的には乳製品が入っておらず、カカオマスが40~60%程度配合されているチョコレートのことを指します*1。
しかしミルクが多少入っているものや、糖分が低いものもダークチョコレートと呼ばれるケースがあります。
また、近頃ではカカオ分が70%~90%と高く、低糖のチョコレートをダークチョコレートという例もあるようです。
そのため、ダークチョコレートを選ぶ際は個々の商品の特徴を確認すると良いでしょう。
1-2.ミルクチョコレート
ミルクチョコレートは一般的には原料に乳製品を使用したチョコレートのことだとされています。
チョコレートと聞いて多くの方が思い浮かべるのがこのミルクチョコレートでしょう。
実はミルクチョコレートは「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」内で明確に定義付けられています。
この規約によると、ミルクチョコレートと表示するためにはカカオ分が21%以上(そのうちココアバターが全重量の18%以上)、乳固形分が14%以上(そのうち乳脂肪が全重量の3%以上)含まれている必要があります*1。
この基準をクリアしないと「ミルクチョコレート」と表示することはできません。
ただし、この規約で定められているのはあくまでも企業がチョコレートを販売する際のルールです。
「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」上でチョコレートがどのように分類されているかについては後ほど詳しく説明します。
1-3.ホワイトチョコレート
ホワイトチョコレートといえば他のチョコレートと異なり白色をしていることが特徴ですよね。
ダークチョコレートと同じく規約などで詳細に定義付けられているわけではありませんが、一般的には主な原料としてココアバターを用いるチョコレートを指しています。
ダークチョコレートやミルクチョコレートはカカオマスやココアパウダーの茶色が強く出ているのに対し、ホワイトチョコレートは乳白色のココアバターをメインに使用しているので、見た目が大きく異なります。
しかし、ココアバターもカカオ豆由来の成分であることには変わりないため、ホワイトチョコレートもチョコレートの一種といえます。
2.その他の原料や形状によるチョコレートの分類
デパートの食品売り場や専門店などに足を運ぶと、さまざまな種類のチョコレートが販売されていますよね。
このように疑問に思ったことがある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
チョコレートはカカオ豆だけでなくさまざまな材料を使うことで、多様な形や味のものが作られています。
ここではよく見かけるチョコレートの種類をご紹介しましょう。
2-1.板チョコレート
板チョコレートはその名のとおりチョコレートを型に流し込み板状に成形したものです。
日常生活で目にする機会も多く、なじみ深いチョコレート製品の一つですよね。
多くのお菓子メーカーからさまざまな種類の商品が発売されているため、食べ比べてみるのも良いでしょう。
また同じ板状のチョコレートでも、クリームやジャム、ナッツ、フルーツなどが入ったものは「シェルチョコレート」と呼ばれることもあります。
シンプルな板チョコレートとは違う個性を味わえるのがうれしいポイントですよね。
2-2.生チョコレート
生チョコレートはチョコレート生地に生クリームや洋酒などの液体を練り込んだもので、表面にはココアパウダーや粉糖をまぶして仕上げられることもあります。
水分が多いため口溶けが滑らかな特長がある半面、賞味期限は短い傾向にあります。
このようなチョコレートは欧米では「ガナッシュ」と呼ばれ、外側をコーティングして丸く成形した「トリュフ」の内側に使われることが一般的です。
生チョコレートはガナッシュをもとにしつつも日本国内で独自の発展を遂げた経緯があるため、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」で生チョコレートと表示するための基準が設けられています。
2-3.ガナッシュ
ガナッシュは溶かしたチョコレートに生クリーム加えたり、温かい生クリームにチョコレートを流し込んだりして作られます。
欧米ではそのまま食べることはなく、トリュフの内側に使われることが一般的です。
滑らかな食感と口どけの良さが特徴で、先ほどご紹介した生チョコレートのもとにもなっています。
ケーキに使用されることもあり、身近なチョコレートの一つといえるでしょう。
2-4.プラリネ
プラリネという名前を初めて知ったという方もなかにはいらっしゃるかもしれませんね。
プラリネは砂糖を熱して作ったカラメルとローストしたアーモンドやヘーゼルナッツを混ぜ合わせ、すりつぶしてペースト状にしたものを混ぜ込んだチョコレートのことです。
この後説明するボンボンショコラなどに使われることもあります。
またドイツやスイスなどでは一口サイズのチョコレートの総称としても使われています。
2-5.ジャンドゥーヤ・チョコレート
ジャンドゥーヤはイタリアが本場のチョコレートの一種です。
ローストしたヘーゼルナッツをすりつぶしたペーストをチョコレートに加えて作られます。
またヘーゼルナッツにアーモンドなど他のナッツを加える場合もあります。
プラリネとの違いは砂糖を焦がしてカラメル状にするかどうかという点です。
プラリネでは熱してカラメル状にした砂糖にナッツを加えるのに対し、ジャンドゥーヤでは砂糖をそのまま使います。
2-6.ボンボン・ショコラ
ボンボン・ショコラは一口サイズのチョコレートの総称で、代表的な例としては「トリュフ」が挙げられます。
「ボンボン・ショコラ」はフランス語で、「ボンボン・オ・ショコラ」とも呼ばれます。
またドイツやスイスでは「プラリネ」という語が用いられています。
ボンボン・ショコラは一口サイズのチョコレート全般を指すためその形は非常に多様です。
「ボンボン」と聞くとチョコレートでできた殻の中に他のものを閉じ込めたお菓子が頭に浮かぶ方も多くいらっしゃるかもしれませんね。
チョコレートボンボンの中身には、ガナッシュやプラリネ、ジャンドゥーヤなどさまざまなものが使われています。
見た目の可愛らしさや口に入れるまでどんな味わいがするのか分からない楽しさも魅力ですよね。
2-7.トリュフ
トリュフは、ボンボン・ショコラの一種で、フランスの高級食材であるきのこ「トリュフ」に似せて作られたチョコレートです。
真ん中にガナッシュを入れてあえていびつな形にしたり、掘り出したばかりの土が付いたトリュフの様子を再現するためにココアパウダーをまぶしたりして仕上げられます。
2-8.ロシェ
「ロシェ」という名前を初めて目にしたという方もいらっしゃるかもしれませんね。
ロシェもボンボン・ショコラの一種です。
ロシェとは「岩」を表すフランス語で、その名のとおりアーモンドなどでゴツゴツした表面に仕上げたチョコレートのことをいいます。
2-9.クーベルチュール・チョコレート
「クーベルチュール・チョコレート」とは一般的にココアバターの含有量が多いチョコレートのことを指します。
ココアバターを31%以上含むものことで、特にココアバターを35%以上含み流動性が高いものを指して使われています*2。
またカカオ豆から取れる材料と砂糖などのチョコレートの基本的な原料だけで作られた製菓用のチョコレートのことを指していうこともあります。
「高級チョコレート」と捉えられている場合もありますが、通常はボンボンやキャンディー、ケーキのコーティングなど特殊な用途に用いられます。
3.日本の商品名による分類
チョコレートのパッケージの商品名に「準チョコレート」と書かれているのを見て
「チョコレートと何が違うんだろう?」
と疑問に思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また「ピュアチョコレート」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
日本におけるチョコレート類の名称は「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」によって定められています。
ここでは制度上のチョコレートの分類をご説明しましょう。
3-1.カカオ分による分類
チョコレートの商品表示を見たことがある方は「準チョコレート」という言葉を目にしたことがあるかもしれません。
「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」ではチョコレートに関する製品は主に「チョコレート」「準チョコレート」「チョコレート菓子」「準チョコレート菓子」に分類されています。
まず、チョコレートと準チョコレートについてご説明しましょう。
「チョコレート」はカカオ分が35%以上か、カカオ分が21%以上でカカオ分と乳固形分の合計が35%以上のチョコレート生地が全重量の60%以上使われているものを指します*3。
一方「準チョコレート」はカカオ分が15%以上か、カカオ分が7%以上で乳固形分が12.5%以上の準チョコレート生地が全重量の60%以上使われているもののことです*3。
「これだけ聞いても何がなんだか分からないなあ……」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
簡単にいうと両者の違いは土台となる生地にカカオ分がどれだけ含まれているのかの違いですね。
また、チョコレート生地と準チョコレート生地が全体の60%未満のものをそれぞれ「チョコレート菓子」「準チョコレート菓子」といいます*3。
チョコレート菓子や準チョコレート菓子にはナッツやビスケットなど他の食材と組み合わせたチョコレート製品が当てはまります。
3-2.ピュアチョコレート
「ピュアチョコレート」という名称を見聞きしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
チョコレートに「ピュア」や「純」といった言葉を使うためには以下の条件を全て満たす必要があると「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」に定められています。
- (1)カカオ成分として、ココアバターまたはカカオマスおよびココアバターのみを使用しているもの
- (2)脂肪として、ココアバターの他には乳脂肪のみを使用しているもの
- (3)ショ糖以外の糖類を使用しておらず、ショ糖の使用量が全重量の55%以下のもの
- (4)バニラ系の香料以外の食品添加物を含まないもの
- (5)レシチンが全重量の0.5%以下のもの
- (6)(1)に規定する原材料、乳製品、その他全国チョコレート業公正取引協議会が承認したもの以外のものを加えていないもの
「ピュア」と表示するためには厳しい条件があることが分かりましたね。
ピュアチョコレートは他のチョコレートに比べて添加物が少なく、カカオの味わいを味わいやすいものだといえるでしょう。
4.まとめ
チョコレートにはさまざまな種類があります。
原料に含まれるカカオ豆由来の成分の違いではダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートの3種類に大きく分類されます。
また、さまざまな材料を組み合わせることで多様な味や形のチョコレートが作られています。
日本におけるチョコレート類は、カカオ豆に由来する成分がどれだけ使われているかによってチョコレート・準チョコレート・チョコレート菓子・準チョコレート菓子に分類されます。
さらに厳しい条件を満たした商品だけが、「ピュアチョコレート」を名乗ることができます。
チョコレートの種類やそれぞれの特徴を知ることで、商品を選ぶ際にも楽しみが増えるのではないでしょうか。
この記事の内容を参考にさまざまなチョコレートを楽しんでくださいね。