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「トッポ」は、中空のプレッツェルにチョコレートを入れた、手を汚さずに、最後までチョコレートを味わうことができるスティックチョコレート菓子。ロッテのおいしさの秘密を探る「探検 お菓子の原材料」では、2回にわたり、トッポの重要な構成要素の“プレッツェル”を取り上げます。まずは、中空の細長いプレッツェルをどう焼いているのか、製造工程の裏側をお届けします。

独自の加工で強度を維持

香ばしいプレッツェルにチョコレートを入れた「トッポ」。1994年の誕生以来、「最後までチョコたっぷり」をコンセプトに愛されてきました。

手を汚さずに「最後までチョコたっぷり」を実現するには、ストロー状の中空プレッツェルを焼き、細長い穴にチョコレートを入れるという難度の高い技術が必要でした。90年代に、製造設備を一から作り出すという高みに挑戦したわけです。苦労してこうした技術を開発した背景には何があったのでしょうか。

当時、スティックチョコレート菓子は、プレッツェルにチョコレートをかけた商品が一般的でした。一方で聞こえていたのが、「手にチョコレートが付く」「チョコレートを最後まで味わいたい」といった消費者の声。そうした消費者ニーズに応えようと生まれたのが、 “中空のプレッツェルにチョコレートを入れる”という逆転の発想だったのです。

そもそもプレッツェルとはどういう焼き菓子を言うのでしょうか。一般的には、独特の結び目の形をしたドイツ発祥の焼きパンを指しますが、もっと手軽に食べられるスナックタイプの焼き菓子をイメージする方が多いかもしれません。ロッテが考えるプレッツェルも後者のタイプです。

焼きパンタイプ(左)とスナックタイプ(右)のプレッツェル

「ロッテでは、小麦粉で作ったビスケット生地を、高温のアルカリ水に浸してから焼き上げたものを“プレッツェル”と呼んでいます。トッポをご覧いただくと、表面に艶があるのがわかると思いますが、これはアルカリ水に浸したことによります。このことで強度が高くなり、中空にしやすく、折れにくいスティック状に仕上がるのです」(ロッテ中央研究所 チョコ・ビス研究部 チョコレート研究課・齋藤圭祐)

太さは直径5~5.8ミリ、穴は2ミリ弱

では、プレッツェルの製造工程を見ていきましょう。

  • ①小麦粉や砂糖、水などでプレッツェル生地を作る。
  • ②プレッツェル生地をストロー状に細く長く伸ばす。
  • ③高温のアルカリ水に浸す。
  • ④オーブンに入れて焼き上げる。

「生地を伸ばす工程は、パスタマシーンを想像していただくとわかりやすいと思うのですが、ひと固まりの生地を機械に通すと、ストロー状のプレッツェル生地が押し出されます。その生地が、高温のアルカリ水に浸された後、オーブンで焼き上げられます」(ロッテ中央研究所 チョコ・ビス研究部 チョコレート研究課・板田鉄平)

オーブンは連続生産できるよう“トンネル状”の特別仕様になっています。生地はアルカリ水に浸された後、ベルト上に整列され、オーブン内を移動しながらきつね色に焼き上げられます。プレッツェルの表面に見える「ハの字」のような模様は、オーブンの網で付いた焼き跡です。

「ハの字」のような模様はオーブンの網の跡

焼き上がったプレッツェルの太さは、直径5~5.8ミリ、チョコを入れる中空の直径は2ミリ弱という大きさ。その穴にチョコレートを注入し、スティックチョコレート菓子「トッポ」は完成します。

「焼き上げたプレッツェルの穴が途中でつぶれていたり、きれいに中空になっていないと、チョコレートを注入する際に、プレッツェルの内側(壁)に負荷がかかり、折れてしまうことがあります。トッポの量産化には、プレッツェル生地の製造の工程がとても大切。現在でも生地物性のコントロールには細心の注意を払っています」(齋藤)

「トッポはフレーバーの異なる派生商品も展開していますが、商品(フレーバー)によっては、プレッツェル自体の食感をフレーバーに合わせて軽くしたいと思うことも。とはいえ、プレッツェルの強度は原料の配合を変えるだけでも微妙に変わってしまうので、簡単には手を加えられない。それがトッポの難しさでもあります。強度を維持しつつ、味や食感をどこまで理想の形に仕上げられるか、原料の配合率はもちろん、例えば、小麦粉の種類にも着目しながら試作を繰り返し、完成度を高めるようにしています」(板田)

トッポ誕生まで、機械メーカーと共同で製造設備を開発し、技術者や研究員たちは検討を重ね続けました。トッポは、長く険しい道のりを経て、ようやく量産化にたどり着いた商品ですが、よりおいしいスティックチョコレート菓子を目指し、今も試行錯誤の検討を続けています。

次回は、トッポおいしさの秘訣(ひけつ)でもある“プレッツェルとチョコレートのバランス”に視点を当ててお伝えします。

の こだわり

入れてから焼くのか、入れる前に焼くのか

1975年に発売された「カプッツェル」
※現在は終売

実はトッポにはその前身と言える商品があります。1975年に発売された、ロッテ初のスティックチョコレート菓子「カプッツェル」がそれです。

カプッツェルも「中空のプレッツェルにチョコレートを入れた」スティックチョコレート菓子ですが、当時、中空のプレッツェルを焼く技術は未開発。チョコレートを入れてからプレッツェルを焼いていたため、チョコレートの風味や味わいが今ひとつという結果に。

しかし、「カプッツェル」があったからこそ、熱を加えないほうがチョコレートのカカオ感やミルク感を生かせることに着目することができ、技術的な課題が明確になりました。製造ラインの大胆な見直しを図り、トッポ誕生へとつながったのです。

スティックチョコレート菓子を“チョコレート菓子”とうたう以上、“チョコレート感”を損なうわけにはいかない――。そんな強いこだわりが、トッポを生んだといっても過言ではありません。

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