~世代を超えた課題“認知症”に光をもたらす視点~
加速する超高齢化とともに認知症患者の数は増え続け、大きな心配事となっています。私たちは認知症をどのようにとらえたらいいのでしょうか。このフォーラムでは、「食べることと認知症の関係」をテーマに、医科、歯科、栄養学、介護の視点からの講演が行われました。
講演1
目次
認知症とともに生きる高齢者の社会的孤立について
東京都健康長寿医療センター研究所 副所長
認知症未来社会創造センター長
粟田 主一氏
「一緒に生きよう」地元が支援
昨今の日本では認知症高齢者の一人暮らしは普通のこととなりましたが、地域にある保健・医療・介護の社会的ネットワークが一人暮らしの認知症高齢者に対して十分な生活支援が提供できない場合もあります。
社会的孤立を招くことは認知症の進行にもつながります。
そのような課題に対して、先生が実施された「高島平ココからステーション」の実例をもとに、認知症とともに生きる人が孤立しない社会をつくるための講演をいただきました。
講演2
歯科と認知症-噛まない、噛めない対処法-
日本歯科大学教授
口腔リハビリテーション多摩クリニック院長
菊谷 武氏
真っ先に歯科で「口」を守ろう
人生の楽しみである“食べること”は、生きる力を支えます。
認知症の方は食べることに様々な問題を抱えるようになります。
日々の歯ブラシは思いのほか複雑な動作で、認知症の方に難しいことも。ご家族やかかりつけの歯医者さんでの食べるための口腔機能を保ってあげることが重要になってきます。
「口を守る」「食を守る」という視点から、認知症の方の食事への取り組み方について講演をいただきました。
講演3
認知症と「食べる」を考える
大妻女子大学家政学部食物学科
臨床栄養管理研究室 教授
川口 美喜子氏
「おいしい!」が元気を支える
食べられなくなることは、認知力低下、身体機能低下につながります。また、口の機能が低下し、しゃべらないことで孤独になっていくことは、認知症の症状をさらに進めることになってしまいます。
その両方を改善することが出来る「食事」の大切さについてについて講演いただきました。
講演4
よく噛んでおいしく食べる介護を目指そう
~認知症介護20年の経験から~
NPO法人ハート・リング運動 専務理事
早田 雅美氏
命を守る「食べ続けられる口」
認知症の方の中ではできることややりたいことを必要以上に制限されている人も少なくありませんが、介護する側で重要なのは、その人の大切な暮らしを前向きに支えること。特に食べること、噛むことは生死を分ける大きな課題であり、「食べ続けられる口」を持つことは命を守る上で重要です。
高齢者が要介護になる前からかかりつけ歯科医を持つこと、介護界・医療界が、口腔の働き、正しい口腔ケア、食べることの意味をしっかりと知ること、それぞれの重要性について、自らのご両親の認知症介護の経験から講演いただきました。
主催:
読売新聞東京本社、NPO法人 ハート・リング運動
後援:
厚生労働省、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会
協賛:
株式会社ロッテ
ハート・リング運動に関するお問い合わせ
ハート・リングフォーラム事務局 電話 03-5565-4685
(10:00~17:00、土・日・祝日を除く)