2015年より、世界中のカカオ産地の中から、研究農園を展開するのにふさわしいカカオを探す中でパプアニューギニアの地にたどり着き、「研究を追求し、その技術を他国にも展開する」ことを目的として、現地の支援企業や農民の方々とともに、カカオの研究農園を一から作りあげ、現在は18品種を実際に栽培しています。
4月~11月までの乾季、12月から3月までの雨季があります。ただ、乾季でもある程度の降水はあり、年中カカオが結実しています。
パプアニューギニアにて
オープンベイティンバー社と協業し
0からのカカオ研究農園づくりに成功
植林地の一部を使用させていただきカカオ研究農園をつくりました。
次々と生えてくる雑草と格闘、大雨で思うように作業できないこともありましたが、何度も植え直しを繰り返し今では4mほどの樹高で安定して収穫ができるようにまでなりました。
▼ 2017年
▼ 2022年
地域に根差し未来につなげるためのカカオ研究農園開発
- ①新たな森林開発はせず、既存の土地を使用
- ②栽培時に農薬を使用せず、環境負荷に配慮
- ③カカオ研究農園運営に当たり、新しく現地の方々の雇用を創出
環境配慮や雇用の創出などを意識し、
パプアニューギニアの未来につながるような取り組みを意識しています。
まだまだ実験段階ではありますが、近くの農園に苗木の配布も開始しました。
2016年から現在に至るまで200を超える試験を実施
カカオポッド割に限らず、備品の作成や発酵作業の補助など、現地の方々と協業することで研究が進められています。発酵試験では道具の工夫や副素材の添加など多種多様なことを行っています。
カカオポッド割り
現地の方々と共に試験に使用するカカオの実から
果肉と種を取り出す
発酵・乾燥試験
温度や水分等を計測しながら
発酵・乾燥違いによる品質差を研究
発酵前
低温条件を一定期間キープすることで酵母の働きにより更なるフルーティーな香りを生み出す
発酵後期に短期間、温度を上げることで、渋みを少なく、酸味を立たせる
発酵後
パプアニューギニア産カカオがもつフルーティーな味わいをより引き立てることに成功
研究の一つの成果として、「低温キープ発酵法」という発酵方法を確立させました。
この発酵を行うとレーズン感に深みが出たり、様々なフルーツ感が生まれ、パプアニューギニアのカカオ豆の特長を最大限に生かすことができます。
カカオ研究農園にパプアニューギニアに存在する18品種すべてを植栽
ゼロから作りあげたからこそ、カカオ研究農園ではパプアニューギニアに生息する18品種すべてを植栽することに成功しました。
耐病性などある程度のデータはあるが風味との相関性などまだまだ品種で検証する項目があること、そして今後も品種にまつわることについて検証し、より良い品種と栽培方法を現地の方々と一緒に見つけていきたいと思っています。
カカオ研究農園を作るにあたり、カカオ栽培に携わる方々が笑顔で働けるための仕組みづくりを行っています。
1つ目は、近隣の農家に対する支援です。様々な課題からまだパプアニューギニアでは高品質のカカオ豆を安定して生産することが難しいケースもあることがカカオ研究農園作りの過程で分かりました。そこで、実験的にカカオ苗を現地農家に無償配布しています。
2022年12月~2023年5月で868本の配布を行いました。
2つ目は、事前に森林からの転換が行われないことを確認した上で、植林地管理のGPIシステムを活用して生育状況をモニタリングするなどの取り組みを通じて、現地の農家の方々が、森林からの転換を伴わずに質の高いカカオを作ることが出来るためのサポートをしていきます。これにより、カカオ研究農園近隣のパプアニューギニアの農家が管理しているカカオ農園に対しても中期的なサポートを行い、技術力向上と高収量で高品質なカカオによる農家の収入向上の実現を目指したいと考えています。