受け継いできた創業の想いと未来に向けたパーパス
私たち株式会社ロッテのミッションは「私たちはみなさまから愛され、信頼される、よりよい製品やサービスを提供し、世界中の人々の豊かなくらしに貢献します。」です。これは戦後の品不足で粗悪品が出回っていた時代に、よりよい製品を作ることこそが、人々と社会を豊かにすることだという創業者の強い想いそのものです。この創業の想いは、70年以上経過した現在も、ロッテバリュー「ユーザーオリエンテッド(お客様第一)」「オリジナリティ(独創性)」「クオリティ(最上の品質)」として受け継がれています。
昨今の、変化が非常に激しく予測が難しい事業環境下においては、パーパス(存在意義)がますます重要になると感じています。2023年には、当社グループで働く従業員と共に考え、「独創的なアイデアとこころ動かす体験で人と人をつなぎ、しあわせな未来をつくる。」というパーパスを新たに策定しました。そのパーパスの中で掲げる「しあわせな未来」という言葉には、持続可能な地球と社会を実現するという私たちの決意が現れています。
創業100周年である2048年に向けて目標をアップデート
当社グループでは、2018年から2028年までの中期目標を掲げてサステナビリティを推進してきました。特に環境や持続可能な調達に関しては、目標に向かって着実に進んでいます。例えば、脱炭素では株式会社ロッテファイナンシャルの保有する太陽光発電所からの調達を始めています。また、ポーランドのウェデル社は電力をすべて風力発電由来に切り替えました。情報開示も以前より大幅に充実させています。カカオ豆の持続可能な調達については、本レポートで産地の情報開示を大幅に拡充しています。
サステナビリティの取り組みには長期的な視点がとても重要です。脱炭素や人権への対応をコストとみなすのではなく、成長への投資へと考えを転換しないとなかなか進みません。そこで、サステナビリティの取り組みを加速させるため、創業100周年である2048年のありたい姿をターゲットに、バックキャスティングの視点で目標をアップデートしました。2048年という未来の目標を考えるにあたっては、将来世代の視点を反映させることが重要だと考え、中堅から若手のメンバーでプロジェクトを立ち上げて議論を進めました。こうしてパーパスを起点に3つのサステナビリティビジョンと新たな目標であるロッテ ミライチャレンジ2048を策定しました。
誰かの不幸の上に成り立つ「しあわせな未来」は私たちの目指す姿ではない
1つ目のサステナビリティビジョンは「お客様の選択がしあわせな未来につながるようにブランドを進化させる」としました。当社グループの事業活動を通じて、心身の健康などの価値をお客様に提供するだけでなく、従業員や社会も含めたステークホルダーの「しあわせな未来」に貢献していきたいという想いが込められています。誰かの不幸の上に成り立つ「しあわせな未来」は私たちの目指す姿ではありません。しかし、バリューチェーン上には児童労働や森林破壊、地球温暖化ガスやプラスチック廃棄物の排出など解決しなければならない課題がたくさんあります。これらをステークホルダーと協力して解決することが、パーパスで掲げる「しあわせな未来」を実現することだと信じています。これこそロッテが提供するウェルビーイングな価値だと考えています。
ステークホルダーと協力して課題解決を目指す
「人と人をつなぎ持続可能な地球を実現する」という2つ目のサステナビリティビジョンについては、ステークホルダーと協力して課題解決を目指すという決意を表しています。私たちのビジネスは私たちだけで完結するものではなく、バリューチェーンを構成する多くのステークホルダーと連携しています。そこで、私たちが主体的にステークホルダーをつなぎ、巻き込み、互いに学びながら持続可能なビジネスへの転換を一緒に目指していきます。そのためにはロッテで働く全員が環境についてステークホルダーと対話できる知見を持つ必要があると考え、環境研修を目標に組み入れました。
イノベーションによる成長を続けるために
プロジェクトメンバーの危機感を強く反映したサステナビリティビジョンが3つ目の「多様な人財が集い独創的なアイデアを次々と生み出す会社になる」です。今後さらに加速する日本国内の人口減少、労働市場の流動化、価値観の多様化に対して、職場の魅力を高めていかないと、当社グループで働く人がいなくなってしまうのではないかという危機感です。私たちはイノベーションによる成長を続けるために、多様な人財が集い、思う存分力を発揮してもらえる会社でなくてはいけません。ロッテで働きたい、ロッテで働いてよかったと思ってもらえるよう、私たちは進化し続けます。これまでも、DEI(Diversity, Equity & Inclusion)や柔軟な働き方の推進に取り組んできましたが、私自身が先頭に立ってさらに加速させていきます。
「しあわせな未来」を次の世代に引き継ぐ
当社グループの事業は、農作物など自然の恵みに支えられています。さらに、それらを生産する農家の方々をはじめとする多くのステークホルダーに支えられています。環境や人権に関わる課題の解決に取り組み、パーパスで掲げる「しあわせな未来」を実現して次の世代に引き継ぐことは、当社の経営資源を守り、持続的な成長を遂げるための事業活動そのものです。今回策定した3つのサステナビリティビジョンとロッテ ミライチャレンジ2048は、この「しあわせな未来」につながる重要な道しるべです。これを社内に浸透させ、事業活動の中心に据え、着実に実現していくことが経営トップとしての私の責務です。
すでに、目標の実現に向けて様々な取り組みが動き出しています。サーキュラーエコノミーに関する目標については、新たな部門横断のプロジェクトを組成して、容器包装をアップデートする商品の選定を具体的に進めています。一時的にコストが増えることはあると思いますが、長期的な視点で議論しながら進めていきます。環境研修の受講については、まずは役員からはじめようということで、準備が進んでいます。それ以外の目標についても、私が先頭に立って実現に取り組んでいきます。これからも当社グループらしい新たなチャレンジを続けていきますので、ぜひご期待ください。